福島第1原発事故に伴う放射能汚染で県産牛が出荷停止となっている問題で、県内各政党の動きが活発化している。自民、みんな両党は県内の牛飼養関係者との会合を相次いで開催、早期の出荷停止解除や農家の支援に向け取り組む。これに対し民主党は週明けの22日に会合を予定。日程的には両党に後塵を拝した格好だが、関係者は「政権党として政府に直接訴える」と意気込む。農家の窮状を踏まえ早期解除の道筋を付けられるか、与党の力量が試される。
自民党県連と県議会のみんなのクラブは今月2日、政府の出荷停止指示直後に、早急に解除に向けた対応を行うよう県に要望書を提出。さらに自民は9日、牛飼養農家の支援策強化を求める2度目の要望書も出した。県が翌10日に発表した支援策には、制度融資の拡充など自民の要望がほぼ盛り込まれ、県政与党の力を示した。
また10日にはみんな、11日には自民が、競うように牛飼養関係者との意見交換会を開催し、切実な訴えを直接聞き取った。
自民県連の三森文徳政調会長は「県の9月補正予算での対応を県に求める」、みんなの高橋修司政調会長も「実効性のある政策に取り組む」と述べ、両党とも最重要案件と位置付ける。
両党のほか公明党県議員会、さらには県議会に議席を持たない共産党県委員会も県に要望書を提出。各党とも全国屈指の「畜産王国」の危機に敏感に反応している。
そうした中、民主党県連は17日、酪農・畜産部門の緊急懇談会を22日に宇都宮市内で行うと発表した。
県議会内からは「対応が遅い」と冷ややかな声も聞かれるが、同県連の石森久嗣幹事長は「最新の国の情報を関係者に伝えた上で意見を聞き、農水大臣に直接伝える。県が早急に対応できるよう取り組む」と述べ、政権与党としての役割を果たすと強調する。
出荷停止の解除に向け県は現在、国と調整を進める。県は全頭検査で安全確保を図る一方、県内57戸が保有する汚染稲わらは、各農家が隔離し県が定期的に巡回することで安全性を担保したい考えだ。
本県より先に出荷停止指示を受けていた福島、宮城両県は、早ければ19日にも解除される見通し。県の取り組みだけでは解決しない問題だけに、政権与党の民主が早期解除に向けどれだけ政治力を発揮できるか注目される。
0 件のコメント:
コメントを投稿